今、188ページの“生まれもった川” という章を読んでいる途中です。読み終わったあとで“ほんわかぽにょぽにょ”に感想を書こうと思っているのですが、どうしてもこの“生まれもった川” についてこのブログに書きたいのです。
アラスカに住む75歳のビル(とちょっとだけその奥様)の話。失うことを恐れておびえている私にやさしく“大丈夫だよ”と語り掛けてくれるお話です。
若いころから、天体航海術に興味をもち船の上で働いたり、ヨットの帆職人になったり、ダンスを習ったり、大学に通って博士号を取ったりと、自分の興味のあることをして生きてきたビル。
60代後半で日本語を覚え、自転車で日本の隅から隅まで旅をしたビルは、この文章を星野さんが書いた頃スペイン語を夢中で習っていたそうです。
ビルとその奥様の住まいは修行僧もびっくりするであろうほどシンプルです。
ビルと奥さんのナンシーほどシンプルな暮らしをしている老夫婦をぼくは知らない。結婚したら水道がある生活がしたいね、という会話が今でも普通に聞かれるこの町でも、七十を過ぎて水道のない暮らしをしているのはビルたちぐらいなものだろう。
どこからくんでくるのか、キッチンには小さな水のタンクが大事そうに置かれている。わずか十五畳ほどの家の中を見渡しても、人間はこれだけ何も持たなくてもよいのだ、とビルの暮らしは語りかけてくる。言いかえれば、人生をいきてゆく身の軽さである。
旅をする木 星野道夫
不自由だから自由でいられる
水道の無い生活は、今のわたしの感覚からすると間違いなく不自由な生活です。なのに、この人はなんて自由なんだろう。
世捨て人のような、今のわたしの感覚からする不自由な生活をしながら、少年のように好きな事に夢中になり続けるビル。
なんてすがすがしいんだろう。
食洗機があれば自由な時間が手に入るのにとか、HDDレコーダーがあれば自由な時間に好きなテレビが観られるのにとか、本気で思って悲しんでいた2年位前の自分に
「なくたって大丈夫だよ。ほら、ここ読んで♪」
と188ページを開いて渡したい。
この先、どんな不自由が襲ってきても、自由な心でいよう。
いや、襲ってくる前にあえて不自由を選べば、ふわっと軽く飛べるかもしれない。両手を動かせないほどの荷物は大切なものだけ残して放り出してしまえばいい。
明日、又悩むかもしれない。そうしたらまた、188ページを開いて読もう。
空の上の星野さん、この本を教えてくれたお友達、ほんとうにありがとう。
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